発足経緯

KUR-NEWS No.1 S41.1.1 (抜粋)

かつて建設段階において、原子炉を用いて研究しようとする者、建設に関する専門家等を、京大、阪大及び近畿地区の大学から集めて、専門委員会が組織された。この委員会は初期においては計画の立案、調査等各種の仕事に中心となって活躍したが、いよいよ建設が具体化し、別に建設本部等の実施機構が出来るに及んで、別の性格を持つ、研究者グループに改組された。またその機会に、全国的にメンバーを募集し、初期の会員数は三百数十名に達した。  その後、このグループは実験所(現・複合原子力科学研究所。以下、同様に読み換えのこと)に対する所謂、利用者組合的な色彩をもって運営されたが、核研における原子核談話会のように、研究者の範囲が明瞭で、支持する組織がはっきりしないため、具体的運営にあたっては、種々の批判が起こってきた。例えば実験所として形式的に責任のあると解釈される各機関宛の連絡通知を、私的な組織のメンバー各個に発送する義務があるかどうかということ、またそのような事務を何れか所外の機関に事務局をおいて処理してもらうとすると、どの学部のどの教室が適当か、原子力教室は意外に利用の頻度が少ないので、必ずしもこれを主体にというわけにはいかない、など困難な問題となってきた。  そこで本年度の初め5月24日の総会において、再び改組し、次のように、上記の諸問題をいっぺんに解決出来る形をとることになった。

(1)メンバーについて

メンバーは原則として1年度毎に更新し、その年度の共同利用申込をされた方、および利用申込をしなくても、メンバーとして、連絡通知を受け、運営委員推薦に参加し、将来利用研究したいというメンバーとしての申込だけをされた方を、その年度中メンバーとして取扱うことになった。従って、昭和41年4月より一年間会員として連絡通知等を受取りたい方は、3月末までに別添様式により申込まれる必要があります。勿論、1月14日締切りの共同利用申込をされた方は、共同研究者を含めてこの申込の必要はありません。  このような取扱いによって、実験所としても、共同研究者に対する各種事務連絡が、形式的にも業務として認められたわけであり、組織自体の自主性は、任意申込の自由をはっきりさせることで何ら問題なく保たれているといえる。

(2)会費について

初めは年間200円の会費を徴収していたが、種々の理由で集まりが悪く、これを厳密に徴集しても、現在実験所が行っている各種通知の何分の一かのことが出来るのみで、組織としての自主的な別個のNewsを出すとしても非常に困難である。また、この徴集にあたってはいろいろ面倒な事務が附随する。そこで、会費は一応徴集しないこととし、実験所経費で支弁することとなった。  このことについては、グループ本来の自主性確保という点で激しい議論があったが、結局「メンバー」の項にも述べたとおり、各メンバーが、実験所に対して、共同利用者としての正当な要求の権利を自覚する限り、何等問題はないであろう、要はメンバー各自の自覚の問題であるということに落ち着いた。  なお念のため、改正されたメンバーの規約を別に掲げておく。なお、運営委員の推薦のための選挙等については学術会議会員の選挙と同等の資格者に制限されることになっている。


原子炉利用研究者グループ規約

昭和40年5月24日改正

目的
本会は、わが国の原子力平和利用に関する三原則にのっとり、全国科学者の総意を反映して原子力研究の健全な発達をはかるとともに、京都大学複合原子力科学研究所の利用と、その運営を円滑ならしめることを目的とする。
会員
会員は次のいずれかに該当するものとする。
  1. 京都大学複合原子力科学研究所に共同利用研究を申し込んだ研究者
  2. 前号以外のもので、本会の目的に賛同し、入会を申し込んだ研究者
  3. 複合原子力科学研究所の協議員会委員、運営委員会委員、共同利用研究委員会委員、原子炉医療委員会委員、保健物理委員会委員、原子炉安全委員会委員、臨界集合体実験装置共同利用研究委員会委員、研究計画委員会委員、同小委員会委員並びに専門研究会会員、ワークショップ会員は、自動的にその任期中会員として取り扱われる。
  4. その他原子炉利用研究者グループ幹事会が推薦し、総会で承認された者
これらの会員は、入会した年度中資格を継続し、毎年更新するものとする。ただし、会の役員は、その任期中資格を継続するものとする。
名誉会員
名誉会員は歴代複合原子力科学研究所長および原子炉利用研究者グループ幹事会が特に推薦し、総会で承認された者とする。
会の経費
会の運営に必要な経費は、会員からの寄附等をもってこれにあてる。
事務局
会の事務を処理するため事務局を設ける。(当分の間、事務局は複合原子力科学研究所内におく。)
役員
会の運営のために幹事若干名をおく。
  1. 幹事は共同利用研究申請者並びに専門研究会・ワークショップの申請者及び開催責任者による選挙により選出された者及び本会から推薦された運営委員会委員とする。
  2. 代表幹事は幹事の中から互選により選出する。
  3. 幹事の任期は二年を一期とし、事務局に属する幹事(代表、総務、会計、会計監査)のみ連続担当期数を3期までとする。
総会
総会は、会員をもって構成し、代表幹事の召集により原則として年一回開催して、会の運営に関する重要事項を審議、承認する。
事業
本会は次の事業を行う。
  1. 複合原子力科学研究所運営委員会委員及び共同利用研究委員会委員その他の委員会委員の推薦。ただし、推薦方法は別に定める。
  2. その他、会の目的を達成するために必要なこと。

(追加)

昭和41年1月創刊のKUR−NEWS No.1(抜粋)以前、昭和37年4月にグループの機関誌「原子炉利用研究者グループサーキューラーニュース」が創刊されている。KUR−NEWS昭和52年3月号誌上において、保管されている「サーキューラーニュース」の行方を訊ねた経緯があるが、歴代幹事とともに原子炉利用研究者グループ事務局を永く携ってきた京大複合原子力科学研究所共同利用掛が「原子炉利用研究者グループサーキューラーニュースNo.1」を所蔵しているのみである。年2−4回発行され開設当初の原子炉建設状況を伝えている。  その後、KUR−NEWSの公的な部分を引継いで、昭和63年12月に公的機関誌「複合原子力科学研究所だより」が創刊され、平成18年「アトムサイエンスくまとり」と誌名変更した。  原子炉利用研究者グループは、複合原子力科学研究所の在り方と共に常に全国研究者に開かれた共同利用原子炉であることを念頭におき、歴代幹事並びに共同利用研究者各位の協力で育まれ現在に至っている。

連絡先

〒590-0494 大阪府泉南郡熊取町朝代西2丁目1010 京都大学複合原子力科学研究所
       原子炉利用研究者グループ事務局
       E-mail : kurriyog @ rri.kyoto-u.ac.jp
       ホームページ : https://www.rri.kyoto-u.ac.jp/riyog/