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KURRI-LINAC 利用上の注意事項

「京大炉ライナック安全の手引き」(内部資料)より抜粋
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安全の手引き(平成1812月改訂版)のPDFファイルはこちら>


目次
(1)はじめに
(2)ライナック管理区域への立入り
(3)加速器室への出入り
(4)被ばく線量の注意(立入り制限)
(5)高電圧の注意
(6)ライナック運転に関しての注意事項
(7)緊急事態への対応
(8)管理区域からの物品の持出
(9)放射性汚染物の取扱い
(10)RIの取扱い
(11)一般廃棄物(ごみ)の取扱い
(12)電気に関する安全
(13)寒剤(液体窒素、液体ヘリウム)に関する安全
(14)注意事項の掲示場所
(付録1)放射線障害防止法関係法令の改正後の線量限度等
(付録2)ライナックに備え付けのサーベイメーターと取扱注意事項


(1)はじめに

(1-1) ライナック施設において実験・作業をする上で不明な点や疑問点があれば勝手に判断せず、遠慮なく装置担当者あるいは所内連絡者にご相談ください。
(1-2)
実験所では「安全対策マニュアル」「環境保全マニュアル」が策定されているので、下記URLを参照しルールに従ってください。
京都大学原子炉実験所 環境・安全マニュアル

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(2)ライナック管理区域への立入り

(2-1) 管理区域の入退室システムは、保健物理室より貸与された線量計に貼付されている二次元バーコードにより個人管理されているので、指定された線量計を使い、入室の際には必ず身に着ける。宿舎に一時帰る際には持ち帰らず、電源は切っておく。
(2-2)
管理区域内では飲食・喫煙・化粧などは禁止
(2-3)
運転中に入退室ドアを開けると制御室で警報が鳴る。運転中に管理区域に入室する場合には運転者の了解を得る。
(2-4)
停電や入退室システムの故障によりドアロックが解除できない場合は装置担当者に連絡する。夜間や緊急時はプラスチックカバーを壊し、差込キーを回して手動でドアを開け退避し、装置担当者に事後報告する。
(2-5)
火災などで入退室扉が使用できない場合には搬入路のシャッターを開けて脱出する。停電の場合にはチェーンを引き手動で開ける。
(2-6)
危険防止のため管理区域内での作業及び夜間の実験は必ず二人以上で行う。
(2-7)
入退室の手順は別添1を参照。

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(3)加速器室への出入り

(3-1) ターゲット室に入室する際には必ず一人ずつ安全鍵を抜き着帯する。これによりインターロックがかかり、遮蔽扉が閉まらず電子ビームも出ない。
(3-2)
加速器室内に閉じ込められた場合には、遮蔽扉横の赤い緊急脱出用ボタンを押すことにより扉を開けることができる。あるいは、遮蔽扉横の手動用ハンドルを扉下部のハンドル挿入口に挿して回せば手動で開く。
(3-3)
ターゲット室に閉じ込められた場合には、ビーム停止ボタンを押す。
(3-4)
加速器室から退室する際は安全鍵を必ず戻しセットする。鍵を持ち帰らないように注意。鍵がそろわないとライナックが運転できない。
(3-5)
最後に加速器室から退出し遮蔽扉を閉める者は、加速器室およびターゲット室内に人が残っていないかどうか確認する。
(3-6)
遮蔽扉が動いている最中の出入りや、扉の前後に立つことは禁止。遮蔽扉と壁との間に挟まれそうになった場合には、壁に沿って貼ってある緊急停止センサー(黒いゴムの被覆)を押して遮蔽扉の移動を止める。
(3-7)
運転直後のターゲット室は高線量となっているので、時間を置き、線量や放射性ガス濃度が低下してから入室する。入室する際は適切な種類のサーベイメーターを携帯し空間線量を確認する。ターゲット室内での作業は短時間で終了するように計画を立て、被ばく線量を軽減するよう努める。被ばくだけでなくオゾン濃度にも注意が必要。
(3-8)
マシン停止時にターゲットや照射試料を取扱う場合は必ず排風機を運転する。

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(4)被ばく線量の注意(立入り制限)

(4-1) 管理区域内への立入りは40時間まで。被ばく線量限度は一週間につき1mSv
(4-2)
空間線量率が20μSv/hを超える場所で作業する場合には、あらかじめ保健物理室に届け出る。
(4-3)
運転中のマイクロ波発生室への立入りは1時間以内。特にクライストロン周辺はX線による高い空間線量があるので近寄らない。
(4-4)
運転中の測定室への立入りは1時間以内。
(4-5)
マシン停止中でも非密封線源使用時のターゲット室への立入りは1時間以内。

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(5)高電圧の注意

(5-1) マイクロ波発生装置や電子注入装置には、運転中、数百キロボルトの高電圧がかかっており危険なため、高電圧の標識がある場所には近づかない。高電圧発生時にはクライストロン横の回転赤色灯が点灯。
(5-2)
ライナックの運転者は、マイクロ波発生装置に高電圧を加える際に、装置周辺に人がいないことを確認する。

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(6)ライナック運転に関しての注意事項

(6-1) ライナックの起動やビーム条件の変更は装置担当者が行うが、定常運転中の運転状況の監視、安全の監視、「中性子発生装置使用簿」の記録、及びライナックの停止は実験者が行う。
(6-2)
中性子発生装置使用簿は、左ページが放射線管理日誌、右ページが運転日誌になっており、放射線安全管理上重要な書類なので、運転のつど毎日正確に記載する。
(6-3)
運転者は、管理区域への出入りを監視し、立入者に運転中であることを警告する。
(6-4)
実験終了時には、建物内の目視点検、遮蔽扉の閉鎖、消灯、及び出入口の施錠を行い、運転鍵、出入口鍵、運転日誌及び使用記録を装置担当者に返却する。

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(7)緊急事態への対応

(7-1) 運転中に緊急事態が発生した場合は、平常時の停止手順に関係なく直ちにライナック運転鍵を抜き運転を停止するとともに、装置担当者に連絡する。
(7-2)
救急車や消防車を呼ぶ場合には、まず守衛所(内線119)に連絡する。携帯電話などで直接消防署に通報してはいけない。自力で病院に向かう場合も守衛所に声をかけてから出かける。
(7-3)
所内の他施設で緊急事態が発生した場合には、非常警報や緊急放送があるのでその指示に従って行動する。緊急時集合場所は事務棟会議室である。
(7-4)
火災報知器、消火器、電話機の場所をあらかじめ確認しておく。
(7-5)
非常時の具体的な対処手順を別添2に示す。

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(8)管理区域からの物品の持出

(8-1) 管理区域にある物品をむやみに管理区域外に持ち出さない。やむを得ず持ち出す場合には汚染検査を実施して汚染のないことを確認するとともに、「管理区域外物品持出承認願」を保健物理室に提出し許可を受ける。
(8-2)
実験室や測定室には他の実験者が所有する物品も多数置かれている。装置担当者に許可された物品以外は無断で使用してはいけない。

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(9)放射性汚染物の取扱い

(9-1) 管理区域内で放射性汚染物が生じた場合には、そのまま放置せずに所定の要領にしたがって取扱う。
(9-2)
不明な点は、装置担当者、所内連絡者、放射性廃棄物処理部に問い合わせる。詳細は保安教育テキストの「4.放射性汚染物の取扱い」を参照。

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(10)RIの取扱い

(10-1) 放射性同位元素(RI)の取扱いは部屋及び数量が限定されているので装置担当者と綿密な打ち合わせのうえ使用する。
(10-2)
ターゲット室内でターゲットや照射試料を取扱う作業を行う場合には、必ず排風機を運転する。(非密封RIの取扱いに準じるため。)
(10-3)
RIを取扱う際には、「放射線予防規定実施細則」の第3章を熟読し、適切な手続きを行うとともに、RI使用者の責任として汚染や被ばく防止に努める。

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(11)一般廃棄物(ごみ)の取扱い

(11-1) 実験に伴うごみ(薬品の付いたキムワイプなど)は一般廃棄物として捨てられない。装置担当者(または所内連絡者)の指示に従って分別する。
(11-2)
可燃ごみとリサイクルごみを指示に従って適切に分別する。

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(12)電気に関する安全

(12-1) 実験者が持ち込む電気機器類は、漏電や短絡がないことを十分確認する。
(12-2)
既設の配線を使用する場合には、被覆などに劣化がないか確認する。
(12-3)
ケーブルの太さやブレーカーの許容電流に注意する。
(12-4)
たこ足配線や、巻いたままのコードリールの使用を禁止する。
(12-5)
大電力の機器(ポンプ、モーター、ヒーターなど)を使用する場合、分電盤を使用する場合、加熱昇温装置を使用する場合には、装置担当者に連絡する。

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(13)寒剤(液体窒素、液体ヘリウム)に関する安全

(13-1) 酸欠、火傷に注意する。ポータブル酸素濃度計、革手袋、保護ゴーグルが実験室及び測定室に常備されているので必ず使用する。

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(14)注意事項の掲示場所

制御室: 緊急連絡通報組織図(緊急時の連絡先、電話番号など)
      ライナック操作マニュアル(起動・停止方法、停止時の復旧方法など)
      冊子類(原子炉施設保安規定・放射線障害予防規定・放射線障害予防規定実施細則・
           保安教育テキスト・安全対策マニュアル・環境保全マニュアル・安全衛生管理指針)
管理区域入口ドア:放射線管理部長からの管理区域立入者に対する注意事項
中性子発生装置使用簿の前後ページ:ライナック利用上の総合的な注意事項

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(付録1)放射線障害防止法関係法令の改正後の線量限度等

(国際放射線防護委員会勧告<ICRP Pub.60>の取り入れ等による改正)
(平成13年4月1日改正施行)

放射線業務従事者の実効線量限度

区分

実効線量限度

等価線量限度

下記以外のもの

(1)5年間*1 100mSv
(2)年*2 50mSv

眼の水晶体 年*2 150mSv
皮膚    年*2 500mSv

女子*3

3月間*4 5mSv

上記に同じ

妊娠を申告した女子

本人の申し出等により使用者等が妊娠の事実を知ったときから出産までの間につき、内部被ばくについて1mSv

腹部表面について左記と同じ期間につき2mSv

緊急作業時
(妊娠中の女子を除く)

100mSv

眼の水晶体 年*2 300mSv
皮膚    年*2 1Sv

*1:平成13年4月1日以後5年ごとに区分した各期間。
*2
:4月1日を始期とする1年間。
*3
:妊娠不能と診断されたものおよび妊娠の意思のない旨書面で申し出たものを除く。
*4
:4月1日、7月1日、10月1日及び1月1日を始期とする各3月間。
 

場所による外部放射線の線量限度等

区分

実効線量

事業所の境界および事業所内の人が居住する区域における限度

250μSv3

管理区域境界

1.3mSv3*1, *2

病院又は診療所の病室における限度

1.3mSv3

管理区域内の人が常時立ち入る場所の限度

1mSv/週

*1:これは線量限度値ではなく管理区域に係る線量評価に関する設定基準値。計算に用いる時間数は、年間の実労働時間2000時間を考慮した500時間(以上)/3月間とする。
*2
:管理区域境界の外側に常時滞在する同一の者については、その者の被ばく線量が一般公衆の線量限度1mSv/年を超えないようにする。

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(付録2)ライナックに備え付けのサーベイメーターと取扱注意事項

一般的な注意
・機械的ショックを与えないようにする。
・目的に合ったサーベイメーターを選択する。
・バッテリーチェックを行う。
・放射線場の方向性とサーベイメーターの感度の方向性に気をつける。
・レンジスイッチを大きいほうから静かに切換えて適当なレンジに合わせる。

(1)電離箱式サーベイメーター ALOKA ICS-313
30keV1.5MeVγX
・測定レンジ10μSv/h300mSv/h
・高放射線場やパルス状の放射線場のモニタリングに適している。極低線量率場(0.10.2μSv/h)の測定には適さない。
・レンジスイッチがゼロになっていることを確認しゼロ点調整を行う。
・動作状態を続けるとゼロ点が移動するので、長時間測定の場合には時々ゼロ点調整を行う。
・低線量率測定の場合には時定数が長いので、指示値の動きをよく見ながら、30秒〜1分待って値を読む。

(2)GM計数管式サーベイメーター ALOKA TGS-121
60keV1.5MeVβ線、γX
・測定レンジ3μSv/h300μSv/h
・作業環境の放射線場の確認、遮蔽体や機器などの隙間からの漏洩の測定、バックグラウンドのような低線量率場の測定などに使われる。
・高線量率場(10mSv/h)では数え落としや窒息現象により正確な値が得られないので注意する。
JISではエネルギー範囲60keV1.5MeVのレスポンスを0.52.5としているので、放射線のエネルギーによっては、実際の線量率が指示値の0.52.5倍程度になる可能性があることに気をつける。

(3)レムカウンター VICTOREEN 488A
0.025eV15MeVの中性子線
・測定範囲50cpm800×1000cpm
・換算係数(本体側面に記載)

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