核放射物理学研究室 (京都大学複合原子力科学研究所 粒子線基礎物性研究部門)
http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NRP/index.htm )


教授 瀬戸 誠 (複合原子力科学研究所 研究棟)220号室 (072-451-2445) Email: seto @ rri.kyoto-u.ac.jp
准教授 北尾真司 (複合原子力科学研究所 研究棟)214号室 (072-451-2471) Email: kitao @ rri.kyoto-u.ac.jp
助教 小林康浩 (複合原子力科学研究所 研究棟)214号室 (072-451-2495) Email: ykoba @ rri.kyoto-u.ac.jp
助教 齋藤真器名 (複合原子力科学研究所 研究棟)214号室 (072-451-2680) Email: msaito @ rri.kyoto-u.ac.jp

 核放射物理学研究室では、主として、X線、γ線領域の光子や粒子線の発生とその物質との相互作用に中心をおいた先端的研究を進めており、現在進めている主な研究テーマには以下の3つがあります。

  1. シンクロトロン放射光による核共鳴散乱の研究
  2. γ線核分光による物性研究
  3. 線型加速器を用いたX線放射の発生とその応用に関する研究

1. シンクロトロン放射光による核共鳴散乱の研究

シンクロトロン放射光による核励起とその崩壊過程に関する基礎的研究ならびに、我々と東大、KEKの研究グループが初めて測定に成功した核共鳴非弾性散乱過程を用いた応用研究についても精力的に進めています。 また、結晶中の原子核を放射光でコヒーレントに集団励起させた場合、核の崩壊過程は孤立原子核の崩壊過程で観測される指数関数型からずれ、短時間で崩壊してしまいます。 現在、このようなプロセスの基礎的研究やその崩壊過程で放出されるコヒーレントで超単色なX線の応用に関しても研究を進めています。実験は、西播磨に建設された世界最大の放射光施設SPring-8で行います。




2. γ線核分光による物性研究

無反跳γ線核共鳴吸収効果(メスバウアー効果)により、原子核をプローブとして核外場の超高分解能測定を行うことにより、高温超伝導体や合成金属等の凝縮体の電子構造についての研究を行っています。原子炉中性子の照射により生成される短寿命RI線源を用いることにより、多くの種類の原子核でγ線核分光が行えるようになりますが、現在世界的にも測定を行える研究機関は非常に限られており、当研究室はその重要な一翼を担っています。

メスバウアー効果とは、原子核から無反跳で放出されたγ線が、同種原子核によって同じく反跳なしに共鳴吸収される現象のことで、1957年にドイツの物理学者メスバウアーが191Irについて発見し、1961年にノーベル物理学賞を受賞しました。その後、このメスバウアー効果は固体内の電子状態、原子配置そして磁気的状態の測定手段として広く利用されています。またその超高分解能を生かして、重力場による光の赤方偏移の検証にも利用されました。


3. 電子線線型加速器を用いたX線放射とその応用に関する研究

相対論的電子ビームを単結晶に入射した場合、ブラッグ角をなす方向にX線が放射されます。これは、電子のまわりの仮想光子が結晶によって散乱されたものと解釈することができ、パラメトリックX線放射(PXR)と呼ばれています。下の図は単結晶の角度を変えた場合のPXRの強度変化を表します。また、結晶中を電子が通過する過程で制動放射を発生しますが、これが格子の周期性によりコヒーレントに放射されることがあり、コヒーレント制動放射と呼ばれています。これらの放射機構については、まだ解明されていない事が多く、物質と高エネルギー電子線との相互作用という観点からも興味深く、積極的に研究を進めています。また、強力でコヒーレントなX線源としても多くの可能性を有しているため、新しい光源としての可能性も探っています。


核放射物理学研究室は京都大学複合原子力科学研究所における理学研究科 物理学・宇宙物理学専攻に属する協力講座です。

詳細については、核放射物理学研究室のホームページをご覧ください。

また、御質問等がありましたら、瀬戸 までご連絡ください。


page update: 2018/4/2