GPS連動型放射線自動計測システム KURAMA

KURAMAの概要

KURAMAは空間線量率の測定値と測定位置情報を同時に記録するとともに、遠隔地において測定結果をリアルタイムで共有し、例えば3Dの地図上に表示して分布状況を確認するなどを可能にするシステムです。車載機は小型で一般車両への取り付けも容易であり、さらに人が持ち運ぶことも十分可能なため、事業所敷地内など車での走行が困難な場所でも綿密なマッピングが可能となります。さらにリアルタイムの表示を実現することで、実際の線量分布を確認しながら走行経路を臨機応変に定める事が出来るようになるなど、測定終了後にデータをマップ上に表示する従来の類似の方法に比べて測定の効率が大幅に向上します。

システム構成

KURAMAのシステム構成は図1の通りで、自動車などに搭載され移動しながら空間線量率を測定する車載機、車載機が測定したデータを保存したり、データを処理して可視化するなどの解析等を行うサーバが、ネットワークで結ばれている形になっています。従来の他の類似の計測システムでは測定データが特定のサーバに蓄積され、すべてのユーザがその特定のデータへアクセスする形になっていますが、KURAMAでは車載機の計測用ソフトウェアや測定データはネットワーク上で共有されています。このため、車載機PCのソフトウェアは常に最新のものが使用でき、また測定データはアクセスを認められた者が各々の最適な形でデータを活用することができます。

KURAMAシステムの構成

車載機

車載機は車に搭載されたりして測定対象地域を移動する側で、空間線量率を測定するサーベイメータ、サーベイメータの出力をPC用に変換するインターフェースボックス(MAKUNOUCHI)、測位のためのGPS、データを処理してネットワーク上で共有するためのPC、移動中のネットワークを提供する3G モバイルルータから構成されます。

KURAMAシステム車載機の構成

サーベイメータ
移動中の空間線量を測定するため、空間線量率測定用として市販されているエネルギー補償形サーベイメータを使用しています。例えばNaIやCsI結晶を用いたシンチレーションサーベイメータなどです。GMサーベイメータを使用しないのは、その原理上エネルギー補償が出来ず正しい線量当量に換算出来ないためです。一般のシンチレーションサーベイメータでは測定出来ない高線量区域(30µSv/h以上)に対応するため、電離箱の使用も可能になっています。

MAKUNOUCHI(インターフェースボックス)
市販のサーベイメータでは、空間線量率をアナログ電圧で読み出せるようになっています。サーベイメータの種類によって異なる電圧で出力されてくる線量率をPC用のデジタル値に変換するための装置で、中にはアナログ電圧のレベル変換用回路とADコンバータが組み込まれています。
PC
MAKUNOUCHIでデジタル信号に変換された空間線量率に、時刻やGPSで取得した位置情報など測定に関連するデータでタグ付けをし、画面上でグラフ表示しながらテキストファイルとして保存します。このPCは3Gルータを介してインターネットに接続しており、データの保存されているテキストファイルをDropboxを介してサーバと共有しています。
GPS
通常GPSによる測位の誤差は衛星の位置や周囲の状況他の影響を受け数m〜10mの精度です。KURAMAではGPSは市販のUSBタイプの物を使用しているものの、精度を向上させるために自動車や徒歩など移動速度等に応じたパラメータの最適化を行っています。

ネットワーク

車載機とサーバの間では、PCがテキストファイルとして保存したものをDropboxで共有しています。車載機にインストールされたDropboxのソフトウェアがファイルの更新を検知すると、差分同期によってサーバ上のファイルが更新されます。差分同期なので通信のオーバーヘッドは小さく抑えられます。またDropboxを活用する事でネットワークが一時的に使えなくても回復した時点で自動的に更新が始まること、さらにサーバがどこに何台あるかを気にする必要がなくなり構成において高い自由度が確保されています。車載機は3G回線を通じてネットワークに接続されていますが、差分同期のため転送容量は少ないことから、回線速度自体よりも通信の安定性やエリアの広さが重要です。

サーバとクライアント

サーバ
車載機が測定したデータを蓄積したり、可視化などの処理を行うPCをサーバと呼んでいます。サーバはDropboxとapache、phpがインストールされており、google earthからのリクエストに応じて動的にkmlファイルを生成する機能を有しています。google earthからのリクエスト間隔は概ね30秒間隔程度に設定されることが多く、phpによって動的に生成されるkmlでは、各測定点はgoogle earth上で線量に応じた色調の丸として表示され、その丸をクリックすると測定点データの詳細が判るようになっています。また、サーバは過去のデータも保持しており、必要に応じてkml形式ないしテキスト形式でデータを読み出すことができます。
クライアント
車載機からのデータを閲覧するためのPCをクライアントと呼んでいます。クライアントPCにはgoogle earthがインストールされ、サーバへのアクセスを定義したkmlファイルを読み込ませています。google earthはこのkmlファイルにしたがってサーバへアクセスし、動的に生成されるkmlファイルを受け取って表示します。サーバをインストールしたPCにgoogle earthを同時にインストールすることでサーバとクライアントを同居させることも可能です。例えば、ノートパソコンにサーバとクライアントを同時にインストールしておけば、インターネットの利用可能な任意の場所で測定の状況を把握することが可能です。

KURAMA-II

KURAMAの成果と経験をもとに、小型かつ自動化された改良型システムKURAMA-IIが開発されました。詳細はこちらを御覧下さい

google earthでの表示例。100m程度の間隔で測定している各測定点が周囲の状況とともに確認出来る。
このデータは測定データの更新とともに随時アップデートされる。