KURNS-LINACとは
電子線型加速器とは
KURNS-LINACの性能・仕様
電子線型加速器施設(ライナック棟)の概観
KURNS-LINACのスタッフ
京都大学複合原子力科学研究所の電子線型加速器(電子ライナック)は1965年(昭和40年)に、パルス状中性子を発生させるための中性子発生装置として熊取キャンパスに設置されました。KURNS-LINACの名称は、Kyoto University,Institute for Integrated Radiation and Nuclear Science - Linear Acceleratorからきています。2本の進行波型加速管を持つライナックで加速されたパルス状の電子ビームを、タンタルやタングステンなどの重金属ターゲットに照射することにより、パルス状の中性子を得ることができます。そのため、研究炉での定常中性子を使った研究に対し、対照的かつ相補的な研究を行うことができます。また、電子線やX線による材料照射のほか、最近では短バンチ電子ビームに由来したコヒーレント放射光の発生研究や、それを用いた遠赤外・ミリ波領域での分光研究も行われています。この電子ライナックは、研究所の他の施設(研究炉、臨界集合体、コバルト60ガンマ線照射装置)と並び全国共同利用施設になっており、全国の研究者に利用されています。
ドーナッツ型の円盤を並べた加速管に高周波電力(マイクロ波)を供給し、電子が常に電波の頂上にいるようにして加速させる装置が電子線型加速器で、ライナックあるいはリニアックとも呼ばれます。素粒子・原子核の研究用のほか、最近は小型のライナックが医療用照射装置として使われることも多くなっています。KURNS-LINACではマイクロ波にLバンド(1.3 GHz)を使っており、大多数のSバンド(2.8GHz)のライナックに比べて大電流、すなわち多くの電子を加速することができます。
エネルギー
46 MeV(無負荷時)
30 MeV(最大ピーク電流 500 mA 時)
7 MeV〜30 MeVの低エネルギー運転も可能
ビーム出力
最大 6 kW (公称値 最大 10 kW)
中性子束
3×1011 n/cm2/sec (ターゲット表面、ビーム出力 6 kW時)
運転モード別の性能
定常モード (ロングパルス) |
過渡モード (ショートパルス) |
|
ビーム電流 |
max.500 mA |
max.6 A |
パルス幅 |
0.1〜4 μsec(連続可変) |
2, 5, 10, 20, 33, 47, 68, 100 nsec(ボタン切替) |
パルス繰り返し |
single〜100 Hz (公称値 single〜180 Hz) |
single〜300 Hz (公称値 single〜480 Hz) |
各セクション別の仕様
加速管の仕様 |
1段目 |
2段目 |
タイプ |
Constant Impedance |
Constant Gradient |
モード |
2/3 π |
2/3 π |
周波数 |
1300.7 MHz |
1300.7 MHz |
加速管長 |
2.500 m |
1.845 m |
Loading Factor |
-18 MeV/A |
-12.2 MeV/A |
RF Sourceの仕様 |
1段目 |
2段目 |
ピーク出力 |
13 MW |
20 MW |
平均出力 |
20 kW |
30 kW |
クライストロン |
TV2022B (Thales) |
TV2022B (Thales) |
Modulatorの仕様 |
1段目 |
2段目 |
高圧 |
10〜14 kV |
10〜17 kV |
サイラトロン |
L-4888B (L3) |
L-4888B (L3) |
パルス幅 (flat top) |
2.2 μsec (ショートパルス) |
2.2 μsec |
PFN セクション数 |
8 (ショートパルス) |
8 |
PFN インピーダンス |
6 Ω |
6 Ω |
パルストランス昇圧比 |
1 : 14 |
1 : 14 |
RF Driverの仕様
出力 |
3 kW (パルス) |
周波数 |
1300.8 ± 1.0 MHz |
周波数安定性 |
5×10-9 |
Injectorの仕様
電子銃 |
YU-156 (EIMAC) |
入射電圧 |
100 kV DC |
入射電流 |
max.10A (ショートパルス)
|
阿部尚也 (技術室)
窪田卓見 (原子力基礎工学研究部門・助教)
高橋俊晴 (安全原子力システム研究センター・准教授/施設管理者・使用責任者)
堀順一 (原子力基礎工学研究部門・准教授)
高見清