中性子光学の広域展開:基礎物理から応用物理・工学・農学へ

 低速中性子ビームは軽元素や磁性体に敏感な解析手段として物質研究にとても重要であり,特に生体物質の研究に於いてはX線では見ることのできない水素の情報を直接引き出す手段として注目されています.しかし,中性子は発生に費用がかかり実験場所が限られていることと,X線に比べて中性子ビームは格段に強度が低いために,一般的な解析手段としての応用範囲が強く制限されています.
 このような貴重な中性子ビームの利用効率を上げて最大限の科学的成果を生み出すために,本研究室では中性子光学研究を行っており,特に中性子反射光学素子の開発に関して世界有数の開発拠点でもあります.また,この中性子光学技術を応用して,中性子スピン干渉現象による基礎物理研究から,物性研究のための中性子散乱装置の開発,さらには極冷中性子ラジオグラフィによる工学・農学研究への応用まで幅広く研究を行っています.中性子スピン制御技術を用いた新型中性子散乱装置の開発には特に力を入れています.

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J-PARC MLF BL06 VIN ROSE

1972年に Mezei によって発明された中性子スピンエコー (Neutron spin echo; NSE) 法は,磁場中での中性子スピンの歳差運動を利用して,試料で散乱された中性子のわずかな速度変化を識別し,原子・分子の運動に関する情報を中間散乱関数 I(Q,t) として引き出すことができる分光法です.

本研究室では高エネルギー加速器研究機構(KEK)と連携して,茨城県東海村にあるJ-PARC MLF の中性子ビームライン BL06 に,2 種類の共鳴スピンエコー分光器(NRSE および MIEZE 型)を建設し,装置の高度化に向けた開発と利用研究を行っています.

image of VIN ROSE

プラスチックを使った新しい放射線検出器

紫外線や放射線によって光るプラスチックを開発し,安価で高感度の放射線検出器開発を推進するなど,広く開発研究を行っています.

image of plastic scintillators

その他の研究トピック

Kyoto Univeristy Reactor JRR-3 J-PARC MLF
image of neutron super mirrors image of a neutron guide signal of neutron resonace spin-echo

研究成果

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