紫外線が水晶体構成タンパク質へと及ぼす影響の一部を解明〜白内障発症機構理解への足がかり〜

2024年7月8日 更新

 孫嘉玥 京都大学大学院博士課程、守島健 複合原子力科学研究所助教、井上倫太郎 同研究所准教授、杉山正明 同研究所教授、髙田匠 同研究所准教授らの研究グループは、紫外線が加齢性白内障の発症へと及ぼす影響の一端を解明しました。
 紫外線などの外部ストレスに応じて、ヒト水晶体内部を構成するクリスタリンタンパク質中におけるトリプトファン残基上では酸化修飾が生じます。今回、我々はクリスタリンタンパク質中の色々な場所にあるトリプトファン残基を、酸化後のトリプトファン残基と類似構造をもつフェニルアラニン残基へと置換したクリスタリンタンパク質酸化モデルを複数作出し、その物性・構造解析から、どの部位のトリプトファン残基の酸化修飾が白内障の発症要因となり得るかを明らかにしました。本研究にて作出したクリスタリン蛋白質酸化モデルには、自然放射線由来の白内障発症の機序解明や、それを標的とする白内障発症遅延のための薬剤開発へと貢献することが期待されます。
 本研究成果は、2024年6月26日に、国際学術誌「Protein science」にオンライン掲載されました。

論文情報

論文名

Characterization of βB2-crystallin tryptophan mutants reveals two different folding states in solution

著者名

J. Sun, K. Morishima, R. Inoue, M. Sugiyama, and T. Takata

掲載誌

Protein Science 33 (7), e5092

DOI:10.1002/pro.5092.

error: Content is protected !!