中性子応用光学研究分野    研究室のサイト

教授 日野 正裕 hino.masahiro.2x*kyoto-u.ac.jp
助教 中村 秀仁 nakamura.hidehito.3x*kyoto-u.ac.jp
助教 樋口 嵩 higuchi.takashi.8k*kyoto-u.ac.jp

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本研究分野は、中性子の光学的性質を利用し、低速中性子の今までにない発見や利用方法の実現を目指している。中性子利用は様々な利点があるが、電気的に中性な特長のため中性子ビームを制御(曲げる)ことは大変難しい。そこで中性子が低速になるほど、物質「波」としての性質が顕著になることを利用して、世界最高レベルの多層膜中性子反射ミラーをはじめとする中性子光学素子を開発し、その応用研究を行っている。

中性子は軽元素や磁性体に敏感であり、物質内部のナノ構造解析に力を発揮する。また静的構造だけでなく、動的な構造の情報を直接引き出せる。

特に中性子スピンエコー法は、中性子のスピンを精密に制御することで、他の方法では見ることのできない時間・空間領域をカバーし、生体分子等のゆっくりとした動きも調べることができる。我々は中性子スピン干渉の原理と中性子スピンの精密制御技術を駆使して、世界的にユニークな中性子共鳴スピンエコー分光器(VIN ROSE)を京都大学と高エネルギー加速器研究機構の連携の元、J-PARC MLF BL06に建設し、共同利用研究を展開している。

中性子は、強い透過力を持ち、X線ではコントラストのつきにくい物質内部の水の振る舞いや金属容器内の構造を3次元的に見ることが可能である。さらに中性子の位相に注目したイメージング手法では、サブミクロンの平均構造のゆらぎも同時に見ることが可能であり、中性子ならではの測定対象の拡大を目指している。そしてこれらの様々な装置開発の知見を活かし、福井県敦賀市「もんじゅ」サイトで建設計画が進行中の新たな試験研究炉の実現に向けて精力的に活動している。

また中性子検出器開発だけでなく、紫外線や放射線によって光るプラスチックを開発し、安価で高感度の放射線検出器開発を推進する等、広く開発研究を行っている。

(VIN ROSE) 開発した回転楕円体
中性子集光スーパーミラー
図1 J-PARC MLF BL06で利用が進む中性子共鳴スピンエコー分光器群 (VI ROSE) 図2 開発した回転楕円体 中性子集光スーパーミラー