生体分子構造研究分野    研究室のサイト

准教授 茶竹 俊行 chatake*
助教 喜田 昭子 kita.akiko.4u**
助教 川口 昭夫 akawagch*

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全ての生命現象は化学反応として説明でき、そのため反応が進行する蛋白質の反応部位の構造と、それに基づく生理機能の関係を探ることは基礎生命科学の理解と発展に非常に重要である。本研究室では、X線・放射光・中性子・電子線など量子ビームを利用した生体高分子・蛋白質の構造解析を通じて、立体構造と生理機能の相関を探る。

生体高分子(蛋白質)は、構造をとらなければただのアミノ酸の鎖であり何の機能ももたないが、それぞれの分子が複雑に折り畳まれ、立体構造をとることで初めて巧妙な反応場を形成しそれぞれの機能を発揮する。この蛋白質の反応場の維持や恒常性が破たんしたとき、がんをはじめ各種疾病が起きる。その予防、治療のためには反応場に精密に適合した薬剤の設計を行う必要があり、ホスト側の蛋白質の精密な構造は不可欠である。また、高効率・クリーンな酵素蛋白質の反応は、バイオ医薬品や規模を大きくしての工業的利用への期待が大きいが、そのためにはやはり酵素の反応部位の精密な構造を知る必要がある。さらに、単なる鎖の塊ではなく、規則的な部分構造を緻密に組み立てている構造学的な興味も非常に高い。

高輝度放射光結晶解析によって分子量に依存しない蛋白質・蛋白質複合体の三次元立体構造を決めることが可能になり、基質相互作用の時分割測定も可能となってきた。さらに水素・重水素を決定できる中性子を相補的に利用する事で上記の巧みな構造構築原理の解明と構造生物学を展開する。SPring-8(播磨), Photon Factory(つくば),SLS(スイス)放射光や、ANSTO(豪州),ORNL(米国)中性子施設などの利用と共同研究を展開している。

図1 ヒト血液ヘモグロビン分子内で見られた重水素原子(緑で表示)と核密度分布(フーリエ)図