生体分子構造研究分野 研究室のサイト
准教授 | 茶竹 俊行 | chatake.toshiyuki.6x* |
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助教 | 喜田 昭子 | kita.akiko.4u* |
助教 | 川口 昭夫 | kawaguchi.akio.6s* |
※メールアドレスは * は @kyoto-u.ac.jp に置き換えてください
1. D/Hコントラスト中性子結晶解析
中性子線の重水素と軽水素に対する散乱長は大きく違っており、軽水溶媒結晶と重水溶媒結晶の中性子フーリエ図の差分をとれば、蛋白質中のアミノ基や水酸基の水素原子と水分子の水素原子がコントラスト (重水素/軽水素コントラスト) して観測される 。D/Hコントラスト中性子結晶解析は、水素原子の解析の効率と精度を飛躍的に改善することが期待される。重水素と軽水素のコントラストを実空間差分から計算するアルゴリズムを開発して、蛋白質のD/Hコントラスト中性子結晶解析を進めている。

図1. 中性子D/H コントラストマップで見る水分子。(a) 水分子の運動の違いで区別される二種類の水分子。(b) 通常の中性子マップとの重ね合わせ。
2. 新規または生物学的に興味深い蛋白質の構造研究
上記のような中性子線で水素を含んだ構造を知るためには,まず水素を含まない構造を知る必要がある.そのために,分子量の制限がないX線結晶解析法で構造解析を行っている.これまでに共同研究者とともに様々な新規構造をもつ蛋白質や生物学的に興味深い蛋白質の構造を明らかにしている.

図2.超好熱性アーキアThermococcus kodakarensis由来デホスホCoAキナーゼとGTPの複合体の結晶構造.
(京都大学工学研究科 跡見教授との共同研究)
3. 納豆由来水溶性ビタミンK2の構造研究
納豆の中には脂溶性のビタミンK2の一つメナキノン-7 (MK-7)と、K-binding factor (KBF) と呼ばれるペプチドからなる大型の水溶性粒子 (natto-MK-7) を多く含んでいる。 ビタミンKは血液凝固と骨形成に関連しており、医学・健康への応用研究が盛んである。その一方で、MK-7を含む全てのビタミンKは水に難溶なため、natto-MK-7の水溶性という特性は応用分野における大きな利点である。主成分であるKBFの構造と、KBFがnatto-MK-7を形成するメカニズムを明らかにするために、natto-MK-7の高純度精製と構造解析を行っている。

図3. 納豆由来水溶性ビタミンK2 (natto-MK-7)の構造モデル