核ビーム物性学分野(複合原子力科学研究所 粒子線基礎物性研究部門)

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准教授 谷口 秋洋 209号室 (072)451-2421 tanigutirri.kyoto-u.ac.jp
助教 谷垣 実 209号室 (072)451-2476 tanigakirri.kyoto-u.ac.jp

京都大学複合原子力科学研究所は、我が国で大学が有する唯一のMW級研究用原子炉を用いて理学、工学から医学に至る広い範囲の研究を行うために設置された共同利用・共同研究拠点です。京都大学附置研究所としては、理学研究科物理学・宇宙物理学専攻に「核ビーム物性学」と「核放射物理学」の2分科が協力講座として認められ、大学院生の指導を行っています。
 「核ビーム物性学」分科では核分光の手法による原子核構造研究と原子核をプローブとする学際的研究を行っています。

1.原子核構造の研究
原子核構造研究においては、熱中性子による核分裂や中性子捕獲により生成される短寿命の中性子過剰核種を系統的に研究するため、ガス・ジェット移送方式のオンライン同位体分離装置(KUR-ISOL)などの実験設備を開発し、核分光学の手法により主に質量数150近傍の核構造研究を精力的に行っています。共同研究を含めて行われている主な研究課題は、未知核種の探索、遷移領域核の核構造研究、β崩壊のQ値測定による原子核質量の決定などです。
 また、平成10年度より、新たにスウェーデン、イギリスとの国際協同研究がスタートし、極低温核整列法により偏極した原子核の核磁気共鳴を観測して、オンライン同位体分離装置により得られる中性子過剰核種の磁気モーメントの精密測定を行っています。

2.原子核をプローブに用いた物性研究
放射性原子核をプローブとして超微細相互作用による核外場の研究を行うことにより、物性研究においてユニークな情報が得られます。特に、プローブとなるRI(放射性同位元素:Radioisotope)をイオンビームとして物質中に注入することにより、実験室では生成できない化合物や合金の物性研究が可能になります。原子炉実験所では、KUR-ISOLで得られるRIビームを超伝導体や強磁性体などに打込み、摂動角相関法(PAC)により超微細相互作用を観測して物性研究を行うなど学際的研究に取り組んでいます。

右写真は、1999年度に更新されたKUR-ISOLのビームライン付近のものです。  ビームラインを1コース増やし、不安定核ビームを用いた多彩な実験に対応できるようにしています。

PageUpdate: 2021/4/1