京都大学複合原子力科学研究所     技術室



 <技術室長挨拶>

1963年4月1日に原子炉実験所は「原子炉による実験及びこれに関連する研究」を行うことを目的に、全国大学の共同利用研究所の役割をもつ京都大学附置研究所として設立されました。

2006年までは国立大学であったため、現技術職員は技官という国家公務員でした。また技術室という組織も当初はありませんでした。その後1977年に技術室が発足し、室長を筆頭に4班8掛が組織され、それまで組織になじまなかった職人の集団が、戸惑いながらも組織を意識しながら仕事をすることとなりました。また2006年には国立大学法人となり、技官が技術職員という名前になり現在に至っています。ただ実際の業務は技術室の組織とは別に、技術職員は全員安全管理部(研究炉部、臨界装置部、実験設備管理部、放射線管理部、放射性廃棄物処理部など)から業務依頼され、それぞれの部に所属し、各々の専門技術を生かし設備の安全管理に日々力を発揮しています。技術室も世代交代が順調に進み、若い世代が力をつけ、現在は現場の主力となっています。

不幸にも東日本大震災に起因する地震と津波によって、福島第一原子力発電所の事故が起こり、それまで日本中あるいは世界中に吹いていた原子力に対する追い風が、一気に逆風となってしまいました。実験所のKURやKUCAも安全性審査のやり直しを受けており、再稼働の見通しは今現在立っていません。実験所は今それを乗り越え、再稼働を行うための努力が続けられています。技術室もこれまでも直接的あるいは間接的に協力していますが、これからも今以上に協力し、技術室として積極的に意見を表明し行動して行くことが必要だと感じています。そのためにも技術職員各個人がスキルアップをし、今後も講習会、他大学・研究機関などで開催される技術研修会への参加、技術発表や研修会・見学会を積極的に開催して行くつもりです。

二度とあのような事故を起こしてはならないし、またその安全の軸となるのは技術室でなければならないと思います。今後再稼働が出来、定常業務に戻った際には、組織を見直し管理部間の枠を超え、人事交流も進めたいと考えています。あと何年KURが運転できるか、次世代の主要設備をどうするかなど不透明な部分もありますが、技術室としてそのことも考えて行きながら、各々が出来ることを精一杯がんばって欲しいと希望しています。実験所の安全を守っているのは技術職員の一人ひとりであることを自覚し、技術室を今後も高度な技術集団として充実させて行きたいと思いますので、ご協力よろしくお願い致します。

                   20155月 技術室長 南  馨



・前技術室長(小堀氏)挨拶

・前前技術室長(池川氏)挨拶