臨界集合体実験装置

Kyoto University Critical Assembly

臨界集合体装置ホームページ

KUCAは臨界集合体という実験用の原子炉である。最大出力は100 WとKURのような研究用原子炉と比べて低出力であるため炉心の組み替えが容易で、原子炉物理や放射線物理等に関する基礎研究のために利用している。

建家の内部は遮蔽壁により4つの部分に区画され、固体減速架台2基(A、B架台)と軽水減速架台1基(C架台)の3つの集合体と1つの加速器を設置するという世界的にも例を見ない複合架台方式を採用した実験装置である。複数架台方式であるが、計測制御系統は1組しかなく、同時に2つ以上の集合体を運転することはできない。KUCAは全国大学の共同利用施設として多くの研究者に研究に利用されている。

また、教育利用の面では、昭和50年以来、京都大学のみならず他大学の院生が参加する大学院生実験(2単位が与えられる)を行っており、原子炉の基礎実験だけでなく、燃料の取り扱い、原子炉運転操作など、原子炉に直接接する貴重な体験を提供してきている。現在、12大学の学部学生、大学院生が参加し、平成27年度までの受講者は約3600名となっている。またこのKUCAを利用した教育は韓国、中国およびスウェーデンの学生に対しても行っており、これまでに230名以上の海外からの学生が受講している。

KUCA

固体減速架台

A、B両架台は、ほぼ同じ構造の固体減速架台である。炉心は、架台支持構造第1段に設置された格子板上に燃料体を立てて構成される。燃料体は、断面約5 cm×5 cmのアルミニウム製角筒中に濃縮ウラン・アルミニウム合金の燃料角板と種々の厚さの黒鉛、ポリエチレンなどの減速材角板を重ねて詰めたもので、その有効長は約1.5 mである。その際、実験用として炉心の一部に天然ウラン、トリウムなどの核燃料や鉄、アルミニウムなどの様々な材料も使用することができる。格子板の中心部分は可動となっており、制御棒とは独立した系統の原子炉停止機構として働き、安全性を向上させた構造となっている。
固体減速架台
KUCA固体減速架台

軽水減速架台

C架台は、軽水減速架台で、直径と深さが約2 mのアルミニウム製炉心タンクの中に格子板を設け、燃料体や反射体容器をはめ込んで炉心を構成する。燃料体を構成する燃料板は濃縮ウラン・アルミニウム合金をアルミニウムで被覆したもので、平板型とわん曲型の2種類あり、1枚ずつ抜き差しすることができ、その間隔と枚数を変えることができる。格子板は、2分割炉心の実験に便利なように水平に2分割できるようになっている。臨界近接は、水平および制御棒を調整することによって行われる。緊急停止の場合には、水位下降用の大口径弁を開いて炉心タンク中の水を急速に下部のタンクへと排水する。これは制御棒と独立した原子炉停止機構の役割を果たす。
軽水減速架台
KUCA軽水減速架台

パルス状中性子発生装置

臨界集合体と組み合わせたパルス実験(反応度測定、飛行時間法による炉心内中性子スペクトル測定など)を目的とした中性子発生装置である。これは、加速電圧300 kVの絶縁変圧器型加速器で加速した重陽子をトリチウムターゲットに当てて14 MeVの高エネルギー中性子を発生させるものである。臨界集合体と組み合わせて設置されているものとしては、世界で最も強力なものの1つである。近年研究が盛んに行われている加速器駆動システムに関する基礎実験はこの装置とA架台とを組み合わせて行っている。また、中性子発生反応がD-T核融合反応と同じであるため、核融合関連の基礎的な実験などにも使用することができる。

この加速器とは別に、隣の建屋に設置されたFFAG加速器からの陽子ビーム(最大エネルギー100 MeV)をA架台横まで輸送し、重金属ターゲットに衝突させてパルス状の高エネルギー中性子を発生させる中性子発生設備が設置されており、2009年3月から世界で初めて陽子ビームを用いた加速器駆動システムに関する基礎実験を開始した。
KUCA付設パルス中性子発生装置
KUCA付設パルス状中性子発生装置