電子線型加速器

Electron Linear Accelerator

電子線型加速器ホームページ

電子線型加速器(ライナック)は2本の進行波型加速管を持ち、小型ライナックとしては世界的にも珍しいLバンド周波数(1.3 GHz)の大電力マイクロ波で電子を加速する装置である。発生できる電子ビームのエネルギーは6~46 MeV、パルス幅2 ns~4 μs、パルスの繰返し1~360 Hzと広い可変範囲を持つことが特長で、シングルバンチの発生も可能である。最高ビームパワーは10 kW(ビーム条件30 MeV、500 mA、4 μs幅、180 Hz)であり、小型ライナックとしては国内最高レベルの大電流が得られる。当初は間欠的なパルス状中性子源として昭和40年に設置されたが、現在では多種多様な量子ビーム源、すなわち汎用量子ビーム生成装置として、電子線、X線、中性子線による材料照射、中性子飛行時間分析法や鉛減速スペクトロメータを用いた核データの取得、(γ,n)( γ,p)反応によるRIの製造やその応用、テラヘルツ帯コヒーレント放射光による物理実験、加速管内マイクロ波電界放出による超微弱ビームを用いた検出器校正試験などに広く利用されている。全国共同利用研究課題を年間40週以上実施するほか、京大大学院生実験も行われている。


入射器側から見た電子線型加速器