放射性廃棄物処理設備

Radioactive Waste Management Facility

所内で発生する放射性廃棄物(固体及び液体)を安全に処理するための施設で、主に廃棄物処理工場、タンクヤード及び固形廃棄物倉庫からなる。また、このほかに放射性廃棄物に関する各種試験及び実験研究を行うための測定室や実験室がある。

固体廃棄物は性状(可燃性、不燃性など)に応じて分別収集され、所定の容器に収納処理される。これらは以下に述べる高レベル廃液、蒸発濃縮液、脱水汚泥などとともに固形廃棄物倉庫に保管され、一部のものは法律で定められた廃棄業者に引き渡される。

高レベル廃液(放射能濃度3.7×10Bq/cm³以上)は使用施設ごとで一時貯留後保管される。そのほかの放射性廃液に関しては以下のような処理が行われる。
廃棄物処理設備タンクヤード
廃棄物処理設備タンクヤード

蒸発濃縮処理設備

中レベル(放射能濃度0.37~3.7×10Bq/cm³)及び高塩分の放射性廃液を蒸気加熱により、原廃液を蒸発蒸気と濃縮廃液とに分離する設備で、0.5 m³/hの処理能力を持つ。前者は同伴飛沫中の放射性物質をさらに除去するため、飛沫分離装置を経て、復水された後監視貯留槽に送られる。一方、後者は容器に移される。

凝集沈殿ろ過処理設備、凍結再融解処理設備

弱レベル(放射能濃度0.37 Bq/cm³以下)廃液中の放射性物質を化学反応による沈殿物として回収する装置で処理能力5 m³/hのものが2系列備えられている。沈殿した汚泥は凍結再融解処理設備(設備能力、0.2 m³/d、2基)で更に脱水され、容器に移される。一方上澄み液は、ろ過装置を経て監視貯留槽へ送られる。

イオン交換処理設備

蒸発濃縮または凝集沈殿ろ過処理後に、必要に応じて、陽イオン、陰イオンあるいは無機イオン交換処理装置を使い分けて用いる。処理能力5 m³/hのものが2系列備えられている。特殊な多孔性合成樹脂の持つイオン交換能により、放射性物質がイオン交換体に捕集され、通過水は監視貯留槽へ送られる。

以上の処理後に監視貯留槽に送られた廃水は、その濃度が法律に定められた濃度限度以下であることを確認した後に排出される。