京都大学 複合原子力科学研究所
核放射物理学研究室

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核共鳴散乱

核共鳴散乱

原子核のエネルギー準位を放射光を用いて共鳴吸収させ、その崩壊による散乱過程を利用する実験を核共鳴散乱と呼んでいます。 これは放射性同位元素(ガンマ線源)を用いるメスバウアー効果と同じ物理現象を利用しているので、メスバウアー効果の実験を放射光で行ったものであるともいえますが、 通常のメスバウアー効果(無反跳のガンマ線の共鳴吸収)では観測できない反跳を伴う共鳴現象も対象としています。 また実験手法も異なる点が多いので、核共鳴散乱と呼んで区別しています。

核共鳴散乱による研究

核共鳴散乱は、近年になってSPring-8等の大強度放射光施設が完成し、高輝度・高指向性のX線を生成することが可能となり、実験が可能になった新しい分野です。 このようなX線を利用する事で、原子核の励起状態を制御した新しい研究展開の可能性が大きく開かれてきたと言えます。 当研究室では、世界最大の第3世代放射光施設SPring-8および高エネルギー加速器研究機構のPF-ARを用いて、核共鳴散乱研究の新しい展開を目指しています。 原子核は電子(原子)系と比べて、高い励起エネルギーや多岐に渡る励起準位寿命を有しており、これまでには不可能であった新しい研究の可能性を有しています。 当研究室では、核共鳴散乱に関連した以下のような研究を行っています。