配属先と主な業務内容-研究炉部-

研究炉部では、京都大学研究用原子炉(KUR)の保守、運転、KUR用燃料要素の取扱いなどを行っています。KURは建物一つ丸ごと管理すべき実験装置であり、その保守内容は多岐にわたります。部内には管理班、計画班、運転班が設けられ業務を分担し、また、炉本体・炉室工営・冷却浄化系・計測制御系といったグループに分かれ、点検・修理・整備などを行っています。

研究炉部の業務内容

1.班

計画班:KURの運転計画や炉心配置変更手順等の作成、燃料の扱いの計画、点検・保守の計画等を担当しています。

運転班:KURの運転や炉心配置変更作業、燃料の取扱い、点検・保守作業等を担当しています。

管理班:KURの運転や炉心配置変更作業・燃料の取扱いの際の監督、点検・保守作業時の監督・指導・確認、研究炉部員の教育等を担当しています。



2.保守

炉心タンクへの純水の補給や浄化系フィルタ交換といった日常の保守作業、毎日・毎週の原子炉施設の巡視点検、毎月の非常用設備の点検、年度末から年度初めの定期点検・検査等を行っています。3年に一度の熱交換器の分解点検や10年に一度の炉心タンク健全性調査といった長期計画の保守作業もあります。


炉本体・炉室工営:KURの炉心タンクは直径約2m高さ約8mのアルミ合金でできた円筒で、その周りはコンクリートによる生体遮蔽で覆われています。これらの内部には、放射線利用のための実験孔や炉心支持台等の炉内構造物があり、まとめて炉本体と呼ばれています。また、KURが格納されている建屋は外側が鉄板で覆われ、出入口は気密扉となっています。これにより、原子炉室の内部は空調を回すことで負圧となり、排気口以外から空気が外に出ることがないように作られています。炉本体・炉室工営では、こういった炉本体や原子炉建屋等が健全に保たれるよう、日常の保守作業や定期的な点検・補修等を行っています。


冷却浄化系:炉心タンク内は純水で満たされており、水位や水質は監視・管理されています。KURにおいて水は放射線遮蔽や運転時の冷却剤、中性子減速・反射体としての役割を持った重要なものです。炉心の冷却設備として、3器の熱交換器と6台の循環ポンプ、熱を大気中に放出する冷却塔等があります。また、水中の不純物による炉心タンク内部や燃料の腐食、不純物の放射化を防ぐための浄化設備として、浄化フィルタやイオン交換塔等があります。冷却浄化系では、水位や導電率を適切に維持するための日常の保守作業や、冷却浄化設備・配管等の定期的な点検や補修などを行っています。


計測制御系:KUR周辺には状態の監視・制御のために、多くの計測機器や制御装置があります。様々な場所で測定された中性子カウント数、水位、水温、流量、圧力、導電率、炉室差圧、機器への印加電圧電流、等の信号はKUR制御室及び中央管理室へ集約され、核計装盤、プロセス計装盤、制御卓等で監視、記録、操作ができるようになっています。また、何らかの異常が発生した際にはKURが強制停止するように安全保護回路が組んであります。計測制御系では、様々な検出器や回路、制御装置の保守点検や交換整備等を行っています。




3.運転

年度毎に決定する年間運転計画に従い運転を行います。現在のKURは主に火曜日朝から木曜日夕方までの53時間の連続運転を20週ほど行っています。運転中は運転班員が12時間勤務の2交代制で制御室に詰め、KURの状態の監視、点検、実験のための操作などを行っています。


4.炉心配置変更作業

KURの炉心は水深約6mの位置にあります。炉心を構成する燃料要素などの配置を変更する作業(炉心配置変更作業)では、燃料要素などは水中で取り扱う必要があるため、約6mある専用工具を使って手作業で取り扱います。毎年、年度初めに運転炉心を構築し、運転期間中は照射試料の炉心への出し入れを行い、年度末には保守作業のために炉心を解体しています。